『オズの魔法使い』には、黄色いレンガの道と見渡す限りのカラフルなポピー畑が登場します。現実の世界で言えば、オズの国とはまさにハザンのことかもしれません。ハザンには「幸福の道」があり、白、ピンク、深紅のソバの花が咲き誇る緑豊かなフィールドが広がっています。そして『オズの魔法使い』のように、ハザンのソバの花の豊かな恵みは、L・フランク・ボームの名作に登場するエメラルド・シティと同じくらい神秘的で、伝説に満ちています。
ソバの花はハザンを象徴する風物詩となっています。秋の終わりに、観光客はベトナム北部の最果ての地(中国国境付近)に押し寄せ、美しく咲き誇るソバの花を感嘆の眼差しで眺め、写真を撮影し、その美しさを堪能します。しかし、ソバの花は単なるハザンのシンボルにとどまらず、村人たちを救い、栄養をもたらしてきた命の源でもあるのです。
伝説によると、米とトウモロコシの妖精が、自分たちの楽しみのために、遥か遠くの山あいの渓流にソバの種を蒔いたのが始まりとされています。しかしある時、米とトウモロコシの畑が不作となり、この地域の人々は飢饉に見舞われました。生き延びるために、村人たちは手分けをして食料を探しに向かいました。ある日、探索に出ていた人々が心を奪われるような香りに気づきました。文字通り鼻を頼りに進んでいくと、山あいの渓流と、白やピンクの花が一面に咲き誇る広大な景色——希望の花々にたどり着いたのです。
近くでよく見てみると、花びらの下に種が収まっているのを派遣しました。種を集めて調理してみたところ、驚くことに米やトウモロコシに代わる美味しい食料であることが分かり、誰もが大喜びしました。こうして、芳しい香りを放つソバの花の種は、人々の主食となりました。
9月下旬になると、毎年白い花が咲き始めます。10月から11月へと移り変わるにつれて、花の色はピンク色に変化します。そして12月末までに、深みのある鮮やかな赤色へと変わっていきます。
約1,000エーカーにも及ぶ広大な敷地で、刻一刻と色を変えていくソバの花景色を想像してみてください。この素晴らしい視覚の宴は10月から12月にかけて存分に楽しめますが、毎年11月中旬から下旬にかけては、恒例のお祭りが開催されます。
ドンヴァン県で開催されるこのお祭りでは、地元の少数民族(モン族、タイ族、ザオ族、ヌン族、チェチェン族、カオラン族)の文化展示を体験できます。芸術、パフォーマンス、工芸品、そして料理(ソバ粉のパンケーキ、お粥、麺類、ケーキ、さらにはワインなど)が楽しめます。ドンヴァンの古城通りで花で彩られた道を散策したり、「ハピネスロード・マラソン」を楽しんだりできます。また、ニョクエ川ではカヤックやパドルボードのレースも開催されます。
幸福の道(ハピネスロード)といえば、その歴史もソバの花に負けず劣らず味わい深いものです。この道路が開通する前、ハザンはあまりにも人里離れたアクセス困難な場所であり、世間の関心から外れた存在でした。道路建設工事は1950年代後半に始まりました。数多くの民族から集まったボランティアや作業員が協力し、険しい山々やジャングルを切り拓いてくねくねと曲がりくねった道を築き上げました。幸福の道が完成するまでに7年以上がかかりました。ハザンに豊かさと幸せをもたらす幹線道路になるようにとの願いを込めて「幸福の道」と名付けられました。
ハザンはトレッキング愛好家にとって天国のような場所です。広大な大自然、花崗岩の山々、洞窟、川、渓谷、鬱蒼とした森林、そびえ立つ断崖絶壁、小さな集落、そしてもちろん見渡す限り一面に広がるソバの花の海が広がっています。
もしお祭りの時期に訪れることができなくても心配はいりません。ソバの花が咲くシーズン全体が視覚と嗅覚の祭典であり、周囲の文化は今もなお活気にあふれています。
ソバの花の開花風景を鑑賞するのに最適な、おすすめのスポットをいくつかご紹介します:
タックソンタン(Thach Son Than)は、ユネスコ世界ジオパークであるドンヴァンカルスト高原に位置しています。ソバの花が曲がりくねった道路に沿って咲き、数百万年の時を経て自然が刻んだ石の造形と相まって、一面に広がるソバの花の棚畑の絶景を見渡すことができます。
ルンカム(Lung Cam)村は、風光明媚なスンラ(Sung La)渓谷(ドンヴァンから西に25km)に位置しています。ここはソバの花が最も豊富に咲き誇る場所です。ルンカム村では、名作映画『パオの物語』の着想の源となった「パオの家」を訪れることができます。この歴史ある村には、3つの民族が共に暮らしています。
出典:インターネット
標高1,500mに位置するマピレン峠(別名「幸福の道」)は、絶え間なく続く「S」字カーブのようで、息をのむような絶景が広がるライダーやトレッカー憧れの地です。2つの山脈の間に広がるソバの花畑は、驚くほど美しい景色を作り出しています。
ハザンへ向かう道のりそのものが冒険の一部です。最寄りの空港はハノイにあります。おすすめの移動手段はバスです(所要時間は約6時間で、毎日何本も運行しています)。多くの旅行者はバイクや車をレンタルしますが、非常に勇敢な旅行者の中には自転車を選ぶ人もいます。
「木の上からの眺めが特別なのは、自ら木に登らなければ見ることができないからだ」と言われます。ハザンもまさにそのような場所です。その魅力を堪能するには相応の努力が必要です。ハザンはまさに磨けば光る原石のような存在です。魅惑に満ちた神秘の地——3ヶ月間にわたり、咲き誇る美しいソバの花の絨毯に包まれます…




