旅行者のためのテト(旧正月)ガイド

旧正月(テト/Tết Nguyên Đán)は、ベトナムで最も重要な祝祭です。この時期、ベトナム全土で家族が集まり、ご先祖様を敬うとともに、新年の幸運、繁栄、健康を祈ります。公的な祝日は1週間ほどですが、実際のテトのお祝いはもっと長く続きます。旧正月の時期にベトナムを訪れるなら、どのような体験ができるかをご紹介します。

テト 2020 ベトナム旅行

第01章 —

新しいスタート

テトは旧正月の初日であり、ベトナム北部における春の訪れを意味します。この祝日の歴史は、紅河デルタにベトナム人が定住し始めた初期にまで遡り、当時は稲作の新たなサイクルの始まりを意味していました。現在では、農業に由来する本来の意味を超え、家族や大切な人々に囲まれて幸先の良い新たなスタートを切るという、ベトナム文化において非常に重要な意味を持っています。

ベトナムのテト祭り

第02章 —

準備期間

ベトナム全土で、テトの準備は数週間前から始まります。掃除や模様替え、飾り付けは、この祝日の大切な伝統の一部です。ベトナムの人々は新しい服を買い、髪を切り、特別な料理を作り、花を買い、バイクの洗車までも行います。各家庭やオフィスには「Chúc Mừng Năm Mới(明けましておめでとう)」の文字が飾られ、金柑の木や桃の花が一番目立つ場所に置かれます。金柑の木が大きいほど、新しい年に家族により多くの繁栄と健康がもたらされるとされています。バイクの荷台に載せられて運ばれる木々で街は色彩豊かに彩られます。長期休暇への期待から、国全体が祝祭ムードに包まれます。

アドバイス:テトのお祝いは旧正月の3日前から始まり、明けた後も数日間続きます。この時期は交通機関が大混雑し、チケットが売り切れることもあるため、ベトナム国内の移動は避けるのが無難です。2021年の旧正月当日は2月12日(金)です。

ベトナムのテト 2020

第03章 —

ショッピングリスト

テトの数日前になると、市場や通りは買い物客で溢れ返ります。忙しい主婦たちが、アルミ箔や紙のガーランド、魚・コイン・爆竹・花をかたどった縁起の良い赤や金色の飾りを買い求めます。旧正月にはその年の干支があり、光沢のあるステッカーや紙提灯にも干支のデザインがあしらわれます。人々は赤いお年玉袋「bao lì xì(バオ・リシー)」を束で購入して持ち帰ります。これは年長者から年下へ、または上司から部下へ贈る習慣があります。若者にとって、リシーをもらう側からあげる側にまわることは、一人前の大人になった証でもあります。

ベトナムのテト祝日

第04章 —

祝日の伝統料理

料理――特にテトの伝統的な餅料理bánh chưng(バイン・チュン)――はお祝いに欠かせない要素です。言い伝えによると、雄王(フン王)の最後の王がどの息子に王位を継がせるか決めかねていた際、世界で最も美味しい料理を献上するコンテストを開催しました。ある王子が、天と地を表す2つの味わい深い餅料理を差し出し、見事に群を抜いた存在感を示しました。王はその質素ながら深い味わいの料理に深く感動し、彼に王位を授けました。ベトナム全土で、家族が揃って一日中ごちそうを囲み、訪れるゲストには美しい箱に入った砂糖漬けのドライフルーツが振る舞われます。

アドバイス:ハノイでは、ハンボン(Hàng Bông)通りの「Quốc Hương Shop」でバイン・チュンを購入できます。この店は200年にわたりこのお餅を売り続けています。

ベトナムのテトの伝統

テトの伝統的な夕食は、家族が集まり過ぎ去った一年について語り合う大切な機会です。料理の内容は地域によって異なります。北部では、nem (揚げ春巻き)、bánh chưng(ちまき状の餅)、丸ごと茹でた鶏肉などが欠かせない料理です。一方、南部のテト料理は、豚肉の角煮(豚肉のキャラメル煮)、ゴーヤスープ、チキンサラダなどが代表的です。多くの料理には、苦難の終わりと新しい年への希望の象徴が込められています。

ベトナムのテトについて

第05章 —

ハノイのテト

テトの1週間前、西湖(タイ湖)の近くにあるクアンバー(Quảng Bá)花市場を散策するのは忘れられない体験となります。寒さに負けじと厚着をした人々が、新年に幸運をもたらす最高のピンク色の桃の枝を買い求めます。大晦日の夜(テト前夜)の雰囲気を最も味わえるのは旧市街の路地です。歩道には数百もの臨時の祭壇が設置され、果物や茹でた鶏肉がお供え物として並べられます。

ヒント:テト前夜(2021年2月11日)にはベトナムの主要都市で花火が打ち上げられます。屋外で絶好のスポットを見つけて、午前0時に夜空が彩られる様子を鑑賞しましょう。 

2020年のテト休暇

第06章 —

ホーチミン市のテト

南部では、黄色いホアマイ(黄梅)の花が旧正月を象徴します。ホーチミン市のテトは、北部に負けず劣らず色彩豊かです。1区のグエンフエ通りでは国内最大級のフラワーショーが開催されます。新しい服を着た家族連れや自撮り棒を手にしたアオザイ姿の若い女性たちなど、大勢の人々に混ざって魅力あふれる花の展示を楽しみましょう。

旅行者のためのテトのアドバイス

ベトナムのテト休暇ガイド

- テト休暇中は全国から人々が故郷へと帰省するため、バス、電車、航空券、ホテルの客室の需要が非常に高まります。この時期に旅行する場合は、移動手段や宿泊施設をかなり早めに予約するようにしてください。

- 多くのスタッフが家族のもとに帰省するため、お店やレストランは通常テトの最初の数日間は休業します。この時期は街が静かになり、食事やショッピングの選択肢が限られることを想定しておきましょう。

- テトの最初の数日間は、喧騒や交通渋滞のないベトナムの大都市が見られる貴重な機会です。静けさを生かして、自転車やスクーター、あるいは徒歩で散策してみましょう。

- テト期間中に家族の家に招待されるかもしれませんが、これは非常に光栄なことです。テトの間は、招待なしでベトナム人の家庭に立ち寄らないことが重要です。その年の最初の訪問者は、各家庭に幸運をもたらす存在として特別に選ばれるためです。

- テトの前後や期間中は、心温まるお祝いの言葉が大変喜ばれます。新年の最初の数日は、出会うすべての人に笑顔で「Chúc Mừng Năm Mới(チュック・ムン・ナム・モイ=明けましておめでとうございます)」と声をかけましょう!

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